ひふみ投信とは、独立系運用会社のレオス・キャピタルワークスが運用・販売している投資信託(ファンド)です。投資信託とは、複数の投資家から集めたお金をまとめて専門家が株式や債券などに運用する金融商品です。
ひふみ投信はアクティブファンド(市場平均を上回る成果を目指して運用するファンド)に分類され、市場指数に連動するパッシブ(インデックス)型ではなく、運用会社が独自に銘柄選定を行って積極的に運用します。主な投資対象は日本国内の成長企業の株式ですが、一部は海外株式にも投資しており、幅広い企業に分散投資しています。
ひふみ投信最大の特徴の一つは運用会社自身が直接販売する直販型の投資信託だという点です。一般的な投資信託は銀行や証券会社(販売会社)を通じて購入しますが、ひふみ投信は証券会社等を介さず、レオス社から直接買う仕組みになっています。そのため販売手数料がかからないメリットがあり、後述するようにコスト面で有利です。また、運用責任者(CIO)はテレビ番組でも“カリスマファンドマネージャー”と紹介された藤野英人氏であり、豊富な経験を持つプロのチームが運用を担当しています。初心者にも人気が高く、預かり資産残高はシリーズ合計で1兆円を突破するまでに成長しています。
ひふみ投信の特徴と運用のポイント
ひふみ投信には、初心者に嬉しい様々な特徴があります。最大の特徴は先述した直販ならではの低コストですが、それ以外にも運用方針やサービス面で注目すべきポイントがあります。
「守りながらふやす」運用方針
ひふみ投信は市場環境に応じて機動的に資産配分を変え、リスク管理を徹底する運用方針を掲げています。具体的には、株式市場が不安定な局面ではファンド資産の一部を現金や預金で保有し、下落リスクを抑える戦略を取ります。こうした柔軟な運用によって、大きく値下がりしにくいよう**「守り」を意識しつつ長期的な成長を図る**のが特徴です。実際に、設定来の長期運用では後述するように安定した成果を残しています。
中小型の成長企業へ積極投資
ファンドでは、まだ知名度は低いが成長が期待できる中小型株への投資を重視しています。他社のファンドがあまり投資しないようなニッチな分野の企業も独自調査で発掘し、将来大きなリターンが見込める銘柄に投資する戦略を取っています。これにより、市場平均を上回る高い成長を狙える点が魅力です。一方で投資先の企業調査には手間と専門知識が必要ですが、レオス社のアナリストチームが年間1,000社以上を訪問・調査して投資判断に活かしています。プロによる徹底調査が高い運用成績の源泉となっています。
顔が見える運用(投資家との対話)
ひふみ投信は運用の透明性や情報発信にも力を入れています。毎月**「ひふみアカデミー」と称する運用報告会やセミナーを開催し、ファンドマネージャー自らが現在の運用状況や市場動向を分かりやすく説明してくれます。また、運用報告書や動画レポートも定期的に公開されるため、初心者でも自分の資産がどのように運用されているか理解しやすいです。直接販売ならではの投資家との距離の近さも特徴で、企業訪問に参加できるイベント「ひふみの社会科見学」や投資家交流イベント「ひふみの日」などユニークなサービスも提供されています。これらによりファンドの運用を身近に感じながら学べるのも、初心者に支持される理由でしょう。
ひふみ投信の運用実績
次に、ひふみ投信のこれまでの運用実績(パフォーマンス)を見てみましょう。ひふみ投信は2008年10月の設定以来、一貫して優れた成績を収めてきました。具体的には、設定来で基準価額(※)が6倍以上になる高い運用成果を挙げています。
例えば2008年の運用開始から2023年末までの約15年間で基準価額が+500%以上(6倍超)上昇しており、市場平均とされるTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価の伸び率を大きく上回りました。これは年率換算でも約15%前後の利回りを達成している計算となり、長期投資の効果が表れています。
※基準価額…投資信託の価格を示すもので、1万口あたりの評価額です。運用成績に応じて日々変動し、ファンドの時価総額を反映します(一般に設定時は1万口=1万円でスタート)。
もちろん、途中の年度ごとに見れば運用成績が振るわない時期もありました。たとえば2018年には基準価額が下落し、「最近は調子が悪いのでは?」という声も出ました。
しかし、運用チームは企業調査や銘柄選定の精度を維持しつつ、相場環境に応じて機動的に資産配分を見直すことでその後の回復に努めました。実際、短期的に成績が振るわない局面があっても長期で見れば安定した右肩上がりとなっているのがひふみ投信の実績です。過去の実績は将来を保証するものではありませんが、10年以上の長期運用で大きく資産を増やしてきたという事実は、初心者が安心して長期投資を検討する上で心強い材料と言えるでしょう。
ひふみ投信のメリットとデメリット
ここからは、ひふみ投信に投資するメリットとデメリットを整理してみます。良い面も悪い面も理解した上で、自分に合った商品かどうか判断することが大切です。
メリット(長所)
過去の高い運用実績
前述のように長期で見て非常に高いリターンを達成しており、他の国内株投信と比べても優秀な実績があります。特に中小型株への投資による成長取り込みで、市場平均以上の利益を狙える点は大きな魅力です。
信頼できる運用体制
テレビでも紹介された著名ファンドマネージャーの藤野英人氏率いるプロ集団が運用を担当しており、企業訪問など地道な調査に基づいた運用がされています。運用方針や手法も定期的に開示されるため、初心者でも納得して資産を預けやすいでしょう。
購入時・解約時の手数料無料
ひふみ投信は購入時手数料(販売手数料)が0円です。銀行や証券会社で販売される一般的な投信では購入時に1〜3%程度の手数料がかかる商品もありますが、ひふみ投信は直接販売のためそのコストがかかりません。また解約時の手数料(信託財産留保額)も0円であり、出入りにコストがかからないのは投資家にとって有利な点です。
比較的低い信託報酬
投資信託を保有している間に日々差し引かれる運用管理費用である信託報酬も、アクティブファンドとしては低水準です。ひふみ投信の信託報酬は年1.078%(税込)に設定されています。インデックスファンドに比べれば高めですが、一般的な日本株アクティブ投信の中では抑えられており、優れた運用成績とあわせ考えればコストパフォーマンスの良いファンドと言えます。
長期保有で実質コスト減
ひふみ投信独自のサービスとして、「資産形成応援団」という長期保有者向けの優遇制度があります。これは5年以上保有すると信託報酬の一部(年率0.2%分)を還元、10年以上では0.4%分を還元してくれる仕組みです。還元分は自動的にひふみ投信の再投資に回され、現金でもらうことはできませんが、その分だけ実質的な費用負担が軽くなります。長く持つほどお得になるため、コツコツ積み立てて長期投資を考える初心者には嬉しいメリットでしょう。
少額から積立可能
ひふみ投信は1,000円からという少額でもスタートできます。毎月の積立投資(ドルコスト平均法)にも対応しており、NISAやつみたてNISA口座を利用すれば運用益が非課税になるメリットも活かせます。初心者でも無理のない範囲で投資を始めやすい環境が整っています。
デメリット(短所)
信託報酬はインデックス投信より高め
先ほど「低水準」と述べた信託報酬ですが、それは同種のアクティブファンドとの比較であって、超低コストのインデックスファンド(信託報酬0.1%台など)と比べれば費用負担は大きいです。長期投資では信託報酬の差がリターンに影響しますから、「確実に市場平均並みの成果が欲しい」という場合は手数料の安いインデックスファンドの方が向いている可能性もあります。ひふみ投信はコスト以上の成果を目指すファンドですが、必ず市場平均を上回る保証はない点には注意が必要です。
短期的な価格変動のリスク
株式を主要な投資対象とする以上、基準価額は日々変動します。ひふみ投信は守りを重視した運用とはいえ、株式市場の大きな下落局面では基準価額も下がります。実際、2018年や2020年のように株式市場が不安定になった際には一時的に基準価額が大きく目減りしたこともあります。元本割れ(投資金額を下回る)リスクは常にある商品なので、預貯金のように元本保証はない点を理解しておかねばなりません。長期保有をすればリスクは平準化されやすいですが、短期では損失が出る可能性もあります。
直接購入には口座開設が必要
ひふみ投信を利用するには、レオス・キャピタルワークスに直接口座を開設して購入する必要があります。他の投資信託や株式を取引している証券会社の口座からは直接買うことができず、専用の口座を別途作る手間がかかります。すでに証券会社で投資をしている人にとっては口座を増やす煩雑さがあります。ただし後述するように、証券会社経由で買える「ひふみプラス」という兄弟ファンドもあるため、そちらを利用すれば既存口座で購入可能です。
ファンド規模拡大による運用難易度
近年ひふみ投信は大きく資金を集めており、シリーズ全体の純資産残高は1兆円を超えました。ファンドが巨大化すると、これまで得意としてきた中小型株への機動的な投資が難しくなる可能性があります。資金量が多いと一度に大量の株を売買できず、俊敏な運用に制約が出る場合もあります。実際、ファンド規模が大きくなり過ぎると小回りの利いた運用が難しくなると指摘する声もあり、レオス社では運用体制の強化など対応を図っています。今後も高成績を維持できるかは留意すべき点でしょう。
ひふみ投信の購入方法と手順
ひふみ投信を購入するには、大きく直接購入と証券会社経由での購入の二通りの方法があります。それぞれの手順を初心者向けに説明します。
1. レオスから直接購入する方法(ひふみ投信を直販で買う)
ひふみ投信は運用会社のレオス・キャピタルワークスから直接買うことができます。その場合、レオスに専用の総合口座を開設し、その口座を通じてひふみ投信を購入します。手順は以下のとおりです。
- 口座開設の申し込み:ひふみ投信公式サイトから口座開設手続きを行います。氏名・住所などの基本情報を入力し、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)のアップロードをします。オンラインで申し込みが完結し、最短で数日程度で口座開設が承認されます。
- 初回入金(資金の準備):口座開設後、案内に従ってレオスの指定口座へ投資資金を振り込みます。銀行振込のほか、クレジットカードやインターネットバンキングからの入金に対応している場合もあります。入金金額は1,000円から可能なので、自分の無理のない範囲で資金を用意しましょう。
- 購入注文の発注:資金が準備できたら、マイページにログインしてひふみ投信の購入注文を出します。購入方法には、一度にまとまった金額を買うスポット購入と、毎月一定額を積み立てるつみたて購入(積立投資)があります。初心者には毎月定額を積み立てる方法がおすすめです。購入金額を指定し注文を確定すると、当日の基準価額で買付が行われます(※一般的に午後3時までの注文で当日受付、それ以降は翌営業日の扱い)。
- 目論見書の確認と注文受付:注文時には目論見書(ファンドの詳細を記載した法定書面)を閲覧・確認します。内容を理解して問題なければ承諾し、最終的に注文を送信します。その後、受付完了メールが届き、約定日(買付が実行される日)に基準価額に応じた口数のひふみ投信が購入されます。
以上でひふみ投信の保有者(受益者)となります。あとは運用報告を見守りつつ、長期的に保有していきましょう。追加で買い増ししたい場合も、同様の手順でいつでも購入できます。
2. 証券会社で購入する方法(ひふみプラスを利用)
「ひふみ投信」という名称の商品はレオスからの直販限定ですが、同じひふみマザーファンドを通じて運用される兄弟ファンド「ひふみプラス」を、証券会社や銀行などの販売会社経由で購入することもできます。既に証券会社の口座を持っている方や、NISA口座で購入したい方はこの方法が便利です。
手順は証券会社ごとに若干異なりますが、基本的には以下の流れになります。
- 証券会社の口座を用意:ひふみプラスを取り扱っている証券会社(例:楽天証券、SBI証券、マネックス証券など)の口座を開設しておきます。既に株式投資等で証券口座がある場合はそのまま利用できます。NISAやつみたてNISAで非課税枠を使う場合は、その口座区分で買付を行います。
- 銘柄検索と注文:証券会社のサイトで「ひふみプラス」を検索し、買付画面へ進みます。購入金額や積立設定(毎月定額買付にするか一度きりか)を入力し、注文を確定します。ひふみプラスは購入時手数料が無料に設定されている販売会社も多く(例:楽天証券では0円)、基本的に余計なコストなく買える場合がほとんどです。注文が約定すると、その証券会社の口座内でひふみプラスの保有残高が反映されます。
- 運用報告の確認:ひふみプラスも運用内容はひふみ投信と共通しているため、レオス社から発表される運用報告や月次レポートを参考に運用状況をチェックできます。証券会社のサイトでも基準価額の推移や残高を確認できます。基本的には買った後は長期保有し、必要に応じて追加購入や解約(売却)を指示する形になります。
なお、ひふみプラス経由でもつみたてNISAを利用した積立投資が可能です。毎月の自動積立設定をしておけば、時間分散によって高値掴みのリスクを抑えながら投資を続けられるでしょう。
このように、直接購入と証券会社経由のどちらでも自分に合った方法でひふみ投信シリーズに投資できます。直販のひふみ投信は長期保有特典(資産形成応援団)が魅力ですが、証券会社経由のひふみプラスでも手軽に同じ運用成果を得られます。自分の状況に合わせて選ぶと良いでしょう。
ひふみ投信の手数料とコスト
投資をする上で手数料やコストも重要なポイントです。ひふみ投信は購入・解約にかかる費用負担がなく、運用中のコストもアクティブファンドとしては割安で、さらに長期保有で報酬の一部が戻ってくる点でコスト面のメリットが大きい商品です。初心者にとって透明で良心的な手数料体系と言えるでしょう。
ひふみ投信の場合、そのコスト面での特徴は次のとおりです。
購入時手数料(販売手数料)
0円。証券会社等を通じて買うひふみプラスの場合は、本来各社が手数料を定める仕組みですが、主要ネット証券では無料としているところが多いです。ひふみ投信は直販投信のため、購入時のいわゆる販売手数料がかかりません
信託報酬(運用管理費用)
年1.078%(税込)。ひふみ投信では純資産に対し年1.078%の信託報酬がかかります(ひふみプラスも基本的に同率ですが、残高規模によって段階的に少し引き下げられる方式です)。インデックスファンドに比べると高めですが、アクティブ運用の対価といえます。ファンドを保有中に日割りで差し引かれる運用コストです
信託財産留保額(解約時手数料)
0円。一般には0.1%程度を解約時に徴収し残存者に充当するファンドもありますが、ひふみではそうしたコスト負担なく解約できます。解約時にかかる費用です。ひふみ投信では解約時の信託財産留保額は設けられていません
税金
通常の課税口座で運用益(売却益や分配金)が出た場合、約20.315%の税金がかかります。ただしNISA口座やつみたてNISA口座で購入した分については、一定枠内で売却益や分配金が非課税になります。ひふみ投信自体の手数料ではありませんが、実質的なコストとして税金面の優遇も考えておきましょう。
長期保有特典による実質コスト減
前述の資産形成応援団により、5年以上保有で0.2%、10年以上で0.4%分の信託報酬が後日還元されます。したがって長期投資をする場合はその分だけ実質的な信託報酬負担が下がり、コストメリットが大きくなります。
ひふみ投信を活用するポイント
ひふみ投信で資産形成を成功させるために、初心者が押さえておきたい活用のポイントをいくつか紹介します。以下のポイントを意識すれば、ひふみ投信を賢く活用できるでしょう。要は「長期・積立・分散」の基本を守り、商品特性を理解して付き合うことが大切です。初心者にやさしい仕組みが多いファンドですので、焦らずじっくり取り組んでみてください。
長期目線で運用する
ひふみ投信の真価は長期投資で発揮されます。短期間で大きな利益を狙うより、5年10年とじっくり運用して資産を増やすことを目的にしましょう。運用報告にもある通り、優秀なファンドでも一時的に成績が振るわない時期はあります。重要なのは短期の上下に一喜一憂せず、腰を据えて保有を続けることです。長期で持つことで資産形成応援団のメリットも享受できますし、複利効果で利益が雪だるま式に増えやすくなります。
積立投資でリスク分散
初心者におすすめなのが積立投資(ドルコスト平均法)の活用です。一度にまとまった額を投資すると、運悪く高値掴みになってしまうリスクがあります。そこで毎月一定額をコツコツ積み立てれば、価格が高いときは少ない口数、安いときは多くの口数を買うことになり、購入価格を平準化できます。ひふみ投信は1000円から積立設定が可能なので、無理のない金額で継続する習慣をつけましょう。また、つみたてNISAを活用すれば20年以上の長期非課税運用が可能なので、積立投資との相性は抜群です。
分散投資を心がける
ひふみ投信1本でも十分に分散されたポートフォリオを持てますが、資産全体の分散も忘れずに。たとえば資産のすべてをひふみ投信だけに入れるのではなく、一部は預金として確保したり、他の投資信託や債券・海外資産などにも分散したりすると安心です。ひふみ投信自体が国内株中心なので、もし日本市場が低迷した場合に備えて外国株式ファンドや世界株型のひふみワールド等を組み合わせるのも一つの手です。複数の資産に分散することでリスクコントロールがしやすくなります。
情報発信を活用して学ぶ
レオス社は月次報告やセミナーなど投資家向け情報発信が充実しています。初心者のうちはこれらを積極的に活用し、投資を学ぶ機会にしましょう。ファンドマネージャーの考えや市場観を知ることで、自分の投資方針の参考にもなります。また疑問点があればレオスのお客様サポートに問い合わせることもできます。情報を上手に活用して、単に商品にお任せするのでなく自らも成長するつもりで取り組むと、より有意義な資産形成ができるでしょう。
必要に応じてリバランス
長期投資を続ける中で、自分の資産配分が当初の計画から大きく乖離した場合はリバランス(資産の再調整)を検討します。例えばひふみ投信の評価額が増えてポートフォリオ内で占める割合が想定以上に大きくなったら、一部解約して他の資産に振り向けることも検討します。ただし、不必要に頻繁に売買するのは長期投資の趣旨に反しますので、基本は放任し、大きなズレが生じた時だけ対応するくらいで十分です。
ひふみ投信と他の投資信託との比較
ひふみ投信を検討する際には、他の投資信託との違いも知っておくと判断材料になります。
他の投資信託と比較してみるとひふみ投信の位置付けが見えてきます。低コストで手堅くいくならインデックスファンド、運用力に期待してリターンを追求するならひふみ投信といった選択になりますし、他のアクティブファンドと比べても直販ならではの親しみやすさや実績の高さが光ります。自分の投資方針やリスク許容度に照らして、適した商品かどうか検討してみましょう。
ここでは主な点をいくつか詳しく比較してみましょう。
インデックスファンドとの比較
インデックスファンド(パッシブファンド)は市場平均に連動する運用を目指すため、信託報酬が低く抑えられています。例えば国内株式型の代表的なインデックスファンドでは信託報酬0.1%台という商品もあります。それに対しひふみ投信は約1.078%とコストは高めですが、市場平均以上のリターンを目指して積極運用する点が異なります。実際に過去の成績ではインデックスを上回る成果を出してきましたが、将来も常に上回れる保証はありません。コスト重視で確実性を取るならインデックスファンド、多少コストを払ってでも高いリターンを狙いたいならひふみ投信といった棲み分けになります。
他のアクティブファンドとの比較
国内株を扱う他の有名アクティブファンドと比べると、ひふみ投信は直販である点と運用方針の独自性が際立ちます。例えば大手運用会社のアクティブ投信は銀行・証券経由で売られるものが多く、購入時手数料がかかったり情報開示が限定的だったりします。一方ひふみ投信は購入時手数料無料で、運用レポートも積極的に公開されているため透明性が高いです。また、中小型株に焦点を当てつつ必要時には現金比率を高める柔軟な運用は、他ファンドにはない特徴です。その甲斐あって受賞歴も多数あり、R&Iファンド大賞やモーニングスターのファンドアワードで優秀ファンド賞を受賞するなど、高い評価を得ています。こうした点で、ひふみ投信は国内株アクティブファンドの中でも個人投資家から高い支持を得ています。
類似の直販ファンドとの比較
近年、ひふみ投信のように直販で投資信託を提供する独立系運用会社が増えてきました。例えばセゾン投信(セゾン資産形成の達人ファンドなど)やコモンズ投信(コモンズ30ファンド)などです。これらも長期投資を前提に中長期の運用成果を目指す商品ですが、それぞれ投資哲学や対象が異なります。セゾン資産形成の達人ファンドは世界の複数の運用会社に分散投資するファンドオブファンズ、コモンズ30ファンドは30年後を見据えた厳選30銘柄への投資、という特徴があります。それらと比べると、ひふみ投信は自社チームが直接銘柄選定を行い、中小型から大型まで幅広い成長株に投資する点でユニークです。直販各社の中でもひふみシリーズは規模・実績ともにトップクラスであり、ある意味で独立系投信の代表格と言える存在でしょう。
※受賞歴: ひふみ投信は過去にR&Iファンド大賞やモーニングスターのファンドアワードで優秀ファンド賞を受賞するなど、高い評価を得ています。受賞は過去の実績による評価であり将来の成果を保証するものではありませんが、一つの信頼材料となります。
ひふみ投信の評判と口コミ
最後に、実際にひふみ投信を利用している人々の評判や口コミを見てみましょう。初心者にとって他の投資家の声は気になるものです。代表的な意見をいくつか紹介します。
「想像以上のリターンが得られた」(30代・男性)。
「日本株中心では大したリターンは期待できないと思っていました。しかし予想以上のリターンがあり、これからも期待できそうです。ただ、投資はリスクが伴うので、私は自分の資産全体の一部をひふみに回し、分散投資を心がけています。」日本株でもひふみ投信なら高い成果が出たという喜びの声です。同時に、一つの商品に集中しすぎず分散する大切さにも触れています
「安定重視の姿勢が初心者でも安心」(20代・女性)
多少の損失が出ても学びと捉えて長く続ける前向きな姿勢は、ひふみ投信の長期投資向きの性格とマッチしています。「投資自体が初めてで何をしたらいいか分からない中、比較的安全そうなひふみ投信を選びました。リスクより安定を重視しているところが安心です。勉強中ですが、仮に損をしても勉強代と思って続けたいと思います。」 初心者がひふみ投信を選んだ理由として、守りを重視した運用方針への安心感が挙げられています
「徹底した現場主義に共感」(40代・男性)
短期の不調にも動じず長期で付き合う姿勢は、まさにひふみ投信が目指す投資スタイルと言えます。「投資歴10年以上になりますが、ひふみ投信ほど理にかなっているファンドはありません。ファンドマネージャーの藤野さんは現場主義で、年間1000社以上実際に会社を訪問しているそうで、そこが気に入りました。理想的な投資パフォーマンスを維持しています。2018年は調子が悪かったものの、私は短期勝負をしていないので長い目で見ています。」経験豊富な投資家からも、藤野氏率いる運用姿勢や成果に対する厚い信頼が伺えます
「退職金の運用にも安心して使える」(60代・男性)
高齢の方にも「安定志向」「評判の良さ」が評価されており、年代を問わず支持されている様子が分かります。「退職金を銀行に預けても増えないのでひふみ投信に挑戦することにしました。安定重視で日本株中心に運用している点が気に入りました。私の周りの投資仲間の評判も良く、これからも続けていくつもりです。」 大切な退職金の運用先としてひふみ投信を選んだケースです
ひふみ投信の口コミ・評判まとめ
全体的な口コミを見ると、「思った以上に増えた」「安定していて安心」「運用方針に共感できる」といった肯定的な評価が目立ちます。一方で一時期の調子の悪さを心配する声もありますが、「長期で見れば問題ない」「勉強しながら始められる」といった前向きな意見が多く、長期投資前提の商品であることを理解している投資家が多い印象です。
口コミからも分かるように、ひふみ投信は初心者からベテランまで幅広い層に支持されています。特に初心者にとっては「安定感がある」「情報提供が手厚い」といった安心材料が評価されており、運用実績だけでなく投資家とのコミュニケーション面でも好評を博しています。
ひふみ投信はどんな人におすすめ?
以上を踏まえて、ひふみ投信がどんな人に向いている商品か考えてみましょう。
投資初心者でまずは日本株中心の安定成長を狙いたい人
ひふみ投信は守りながら増やす運用方針で、リスクを抑えつつ着実に資産形成したい人に適しています。国内株中心とはいえ幅広い銘柄に分散投資され、プロが運用するため個別株投資より安心感があります。初心者でも分かりやすい情報提供があるので、投資の勉強をしながら増やしたい人にうってつけです。
長期の積立投資で資産形成を考えている人
コツコツと積立投資をして将来に備えたい人にも適しています。1000円から積立可能で、つみたてNISA対応とハードルが低く、長期保有で手数料の一部還元といった特典もあります。時間を味方につけて複利で資産を増やしたい人には、ひふみ投信の仕組みは理にかなっているでしょう。
信頼できるファンドマネージャーに運用を任せたい人
藤野英人氏という実績あるマネージャーが率いるファンドであり、運用方針にも共感できる点が多いです。自分で個別銘柄を選ぶ自信はないが、優秀なプロに託して市場平均以上の成果を狙いたい、と考える人におすすめです。顔が見える運用で納得しながら投資を続けられるでしょう。
低コスト志向だがインデックスより高いリターンも狙いたい人
投資信託のコストを重視しつつ、単なるインデックス投資では物足りないという人にとって、ひふみ投信はバランスの良い選択肢です。購入時・解約時手数料無料で信託報酬も適正水準、さらに長期で実質コスト低減と費用面の工夫がされています。その上で市場平均超えを目指す運用なので、「コストとリターンのバランスを重視したい」という投資家にマッチします。
将来のためにまとまった資金を運用したい中高年の人
退職金や貯蓄を運用して老後に備えたいと考える層にも、ひふみ投信は選択肢になりえます。安易に高リスクな投資をするのは避けたいが、銀行預金では増えない…という場合に、ひふみ投信の安定感や実績は魅力です。ただし元本保証の商品ではないため、リスク許容度は各自で見極める必要があります。無理のない範囲で資産の一部を投信で運用したい方には適しているでしょう。
ひふみ投信がおすすめできない人、合わない人は?
逆に、ひふみ投信があまり向かない人としては、超短期で利益を上げたいトレーダー志向の人や、とにかく手数料最優先でできるだけ低コスト運用したい人(インデックスファンドに徹したい人)などが挙げられます。また、日本株より米国株や新興国株など特定の市場に集中投資したい場合は、ひふみよりそれらに特化したファンドの方が良いでしょう。要するに、長期・分散・積立といった王道の資産形成を志向する人にひふみ投信はおすすめの商品と言えます。
ひふみ投信のまとめと今後の展望
ここまで、ひふみ投信について投資初心者向けに網羅的に解説してきました。
ひふみ投信は、レオス・キャピタルワークス社が直販する日本株中心のアクティブ投資信託です。中小型の成長企業に着目した「守りながら増やす」運用で、設定以来優れた実績を残してきました。購入時手数料ゼロ・信託報酬も良心的で、長期保有でさらにお得になる仕組みもあり、初心者でも安心して続けやすい環境が整っています。情報開示やサポートも充実しており、投資を学びながら資産形成できるファンドとして高い人気を誇ります。
ひふみ投信はこれまで順調に純資産を伸ばし、シリーズ全体で1兆円を超える規模となりました。今後も多くの個人投資家の資産形成を支える「国民ファンド」的な存在として期待されます。2024年からは新しいNISA制度がスタートし、非課税で積立投資できる枠が拡大します。そうした制度拡充も追い風となり、ひふみ投信を活用して長期投資を始める人がさらに増えるかもしれません。
一方で、ファンドの運用規模拡大に伴う課題にも注目です。運用チームはより一層の体制強化を図り、藤野氏自身も再び運用現場に復帰するなど、高パフォーマンス維持に向けた取り組みを続けています。市場環境は常に変化しますが、ひふみ投信が掲げる「お客様の資産形成と未来への貢献」という理念のもと、今後も柔軟かつ堅実な運用が期待されます。
最後に、投資初心者の方にとって大切なのは、「商品を理解し、長く付き合うこと」です。ひふみ投信はその点で非常に親切設計なファンドです。この記事を参考に、自分の資産運用プランにひふみ投信が役立ちそうかぜひ検討してみてください。将来の豊かな資産形成に向けて、無理なく一歩ずつ踏み出していきましょう。