アクティブETFとは?アクティブ運用をするETFの登場
「アクティブETF」は、ファンドマネージャーがアクティブ運用を行っているETF(上場投資信託)です。資産運用の新しい選択肢として注目を集めています。
もともとあったETF(上場投資信託)は、特定の指数や指標に連動するようにインデックス運用されるのが一般的でした。市場に広く分散していることから、市場の成長とともに価値を増していきます。一方で、個別株のテンバガーのような大きな利回りが発生することはない、という特徴がありました。
アクティブETFは、特定の指数や指標に連動する必要がない、新しいタイプのETFです。運用会社が独自の運用方針に基づいて銘柄選定や資産配分を行うため、従来のETFよりも運用の自由度が高く、多様な運用が可能となります。つまり、アクティブETFでは、運用の専門家が市場分析を行い、ベンチマークを上回る運用成果を目指すのです。
2023年9月には、東京証券取引所でアクティブETFの上場が解禁されました。これにより、運用会社の投資判断力が運用成果に大きく影響するようになり、個人投資家にとっても新たな投資の選択肢が増えることになります。
このブログでは、アクティブETFの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説し、投資に際しての留意点についても触れていきます。資産運用初心者の方にとって、アクティブETFが身近で魅力的な投資対象となるよう、わかりやすく情報をお伝えできればと思います。
アクティブETF導入の背景
アクティブETFが日本で導入された背景には、いくつかの重要な要因があります。ここでは、その主な背景について詳しく見ていきましょう。
海外市場でのアクティブETFの人気上昇
アクティブETF導入の背景として、まず海外市場でのアクティブETFの人気上昇が挙げられます。特に米国を中心に、アクティブETFの純資産残高が年々増加しており、投資家のアクティブETFへのニーズが高まっていました。この世界的な潮流が、日本におけるアクティブETF導入の追い風となったのです。
投資ニーズの多様化への対応
次に、投資ニーズの多様化への対応も重要な背景の一つです。従来のインデックス連動型ETFでは対応が難しかった、債券や複数資産への分散投資などの投資ニーズがありました。アクティブETFの導入により、こうした新しい運用スタイルの商品開発が可能になったのです。
個人投資家の資産運用ニーズの高まり
また、個人投資家の資産運用ニーズの高まりも見逃せません。新しいNISA制度でアクティブETFが対象商品に加わったことで、個人投資家の長期的な資産形成手段としてのETF需要が高まっていました。アクティブETFは、こうした個人投資家のニーズに応える新たな選択肢として期待されているのです。
東京証券取引所の制度改正
最後に、東京証券取引所の制度改正も重要な背景です。2023年6月に東京証券取引所がアクティブETFの上場制度を解禁し、上場廃止基準や情報開示ルールなどが整備されました。この制度面での環境整備が、アクティブETFの導入を後押ししたと言えるでしょう。
以上のように、海外での人気上昇と多様化する投資ニーズ、個人投資家のニーズの高まりを背景に、東京証券取引所が制度を整備したことで、日本でもアクティブETFが導入されることになったのです。今後、アクティブETFがどのように日本の投資家に受け入れられ、市場が発展していくのか、その動向が注目されます。
アクティブETFの特徴|独自の運用方針で投資機会を追求
アクティブETFは、従来のETFとは異なるユニークな特徴を備えています。ここでは、アクティブETFの主要な特徴について詳しく見ていきましょう。
特定の指数や指標に連動する必要がない
アクティブETFは、日経平均株価やTOPIXなどの特定の指数や指標に連動する必要がありません。この点が、従来のETFとは大きく異なります。アクティブETFは、指数連動の制約から解放されているため、より柔軟な運用が可能となるのです。
運用会社独自の運用方針に基づく銘柄選定と資産配分
アクティブETFでは、運用会社が独自の運用方針に基づいて銘柄選定と資産配分を行います。各運用会社の投資哲学や市場分析を反映した、独自性の高い運用が実現されます。この結果、アクティブETFは従来のETFよりも高い運用の自由度と多様性を有することになります。
運用の専門家によるベンチマーク超過を目指した運用
アクティブETFでは、運用の専門家が市場分析を行い、ベンチマークを上回る運用成果を目指します。熟練の運用担当者が投資判断を下すことで、市場平均を上回るリターンの獲得を目指すのです。この点は、単に指数に連動するだけの従来のETFとは大きく異なる特徴と言えるでしょう。
従来のETFより高い運用の自由度と多様性
上述の特徴から、アクティブETFは従来のETFよりも高い運用の自由度と多様性を有していると言えます。運用会社の投資哲学や運用担当者の能力が運用成果に直結するため、投資家にとっては魅力的な投資対象となり得ます。
ただし、アクティブETFにはアクティブ運用に伴うリスクや高い運用コストなどのデメリットも存在します。次章では、これらのメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
アクティブETFのメリット|低コストで透明性の高い運用を実現
アクティブETFには、投資家にとって魅力的なメリットがいくつかあります。ここでは、その主なメリットについて詳しく見ていきましょう。
投資信託と比較した運用コストの低さ
アクティブETFは、投資信託と比べて運用コストが低めになる傾向があります。アクティブETFでは、投資信託のような販売手数料がかからず、信託報酬もアクティブ投資信託よりも一般的に低く設定されています。これにより、投資家はより低いコストでプロによるアクティブ運用の恩恵を受けることができるのです。
高い運用の透明性(日次での保有銘柄情報の開示)
アクティブETFは、高い運用の透明性を提供します。運用会社には、保有銘柄の情報を日次で開示する義務があります。これにより、投資家は運用状況をタイムリーに把握し、自身の投資判断に役立てることができます。また、この透明性の高さは、運用会社に対する信頼感の向上にもつながります。
一部アクティブETFは新NISAの対象商品
アクティブETFの一部は、新しいNISAの対象商品です。NISAは、少額投資を促進するための税制優遇措置です。アクティブETFが対象となることで選択肢が増え、多くの個人投資家にとって魅力的な選択肢になるでしょう。特に、長期的な資産形成を目指す投資家にとって、NISAによる税制面でのメリットは大きな魅力となります。
以上のように、アクティブETFには運用コストの低さ、運用の透明性の高さ、そしてNISAの対象となる可能性といった投資家にとって魅力的なメリットが存在します。
ただし、アクティブETFにはデメリットもあることを忘れてはいけません。次章では、そうしたデメリットについて詳しく見ていきます。
アクティブETFのデメリット|運用コストとリスクに注意
アクティブETFは、投資家にとって魅力的な投資対象ですが、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、アクティブETFの主な欠点について詳しく見ていきましょう。
アクティブ運用による高い運用コスト
アクティブETFは、インデックス連動型ETFと比較して、運用コストが高くなる傾向があります。これは、アクティブETFが運用の専門家による銘柄選定と資産配分を行うためです。アクティブ運用には、調査・分析にかかる費用や、運用担当者の人件費などが必要となり、これらのコストが信託報酬に反映されます。
一方、インデックス連動型ETFは、指数に連動するために必要な運用コストのみが発生するため、アクティブETFよりも低い信託報酬で提供されることが一般的です。投資家は、アクティブETFの運用成果がこの追加的なコストを上回るかどうかを見極める必要があります。
インデックス運用と比べ、運用リスクが高い
アクティブETFは、市場平均を上回る運用成果を目指しますが、その一方で運用リスクも高くなります。運用担当者の投資判断が適切でなかった場合、アクティブETFの運用成果は市場平均を下回る可能性があるのです。
インデックス連動型ETFが市場平均並みのリターンを提供するのに対し、アクティブETFは運用次第でそれを上回る可能性がある反面、下回るリスクも高いと言えます。投資家は、このようなリスクを理解し、自身のリスク許容度に照らし合わせて投資判断を行う必要があります。
以上のように、アクティブETFにはアクティブ運用に起因する高い運用コストと運用リスクという欠点が存在します。これらのデメリットを踏まえつつ、次章ではアクティブETFへの投資に際しての留意点について見ていきましょう。
アクティブETFへの投資に際しての留意点|運用方針の理解と定期的なモニタリングが重要
アクティブETFへの投資を検討する際には、いくつかの重要な点に留意する必要があります。ここでは、アクティブETFへの投資に際しての主な留意点について詳しく見ていきましょう。
運用方針の理解の重要性
アクティブETFへの投資を行う前に、投資家は各ETFの運用方針を十分に理解することが重要です。アクティブETFは、運用会社独自の投資哲学や戦略に基づいて運用されるため、ETFごとに運用方針が大きく異なる可能性があります。投資家は、自身の投資目的やリスク許容度に合致した運用方針を持つETFを選ぶ必要があるのです。
運用方針を理解するためには、目論見書や運用報告書などの開示資料を注意深く読むことが不可欠です。これらの資料から、運用会社の投資哲学、投資戦略、リスク管理方針などを把握し、自身の投資方針と照らし合わせることが大切です。
定期的な運用状況の確認の必要性
アクティブETFへの投資を行った後は、定期的に運用状況を確認することが必要です。アクティブETFは、運用会社の投資判断に基づいて運用されるため、その運用成果は市場環境や運用担当者の能力に大きく左右されます。投資家は、定期的に運用報告書などの開示資料を確認し、運用成果やポートフォリオの変更状況などを把握する必要があります。
また、アクティブETFの運用状況が自身の投資目的から乖離していないかを確認することも重要です。運用方針や運用成果が当初の期待から大きく外れている場合は、投資方針の見直しを検討すべきでしょう。
以上のように、アクティブETFへの投資に際しては、運用方針の理解と定期的な運用状況の確認が重要なポイントとなります。これらの点に留意しつつ、アクティブETFを自身の資産形成に活用していくことが大切です。
次章では、アクティブETFの今後の展望について見ていきましょう。
- アクティブETFの今後の展望|新たな投資機会の拡大に期待
アクティブETFは、日本市場においてまだ新しい投資商品ですが、今後の展開に大きな期待が寄せられています。ここでは、アクティブETFの今後の展望について詳しく見ていきましょう。
東京証券取引所での上場解禁(2023年9月)
2023年9月、東京証券取引所でアクティブETFの上場が解禁されました。これにより、国内の運用会社が様々なアクティブETFを上場し、投資家に提供することが可能となりました。今後、国内外の運用会社が独自の投資戦略を持つアクティブETFを次々と上場していくことが予想されます。
多様な投資戦略に基づくアクティブETFの登場
アクティブETFの上場解禁により、バリュー投資やグロース投資、セクター特化型投資など、様々な投資戦略に基づくETFが登場することが期待されます。これにより、投資家は自身の投資スタイルに合ったアクティブETFを選択できるようになるでしょう。
海外市場の動向と国内市場への影響
アクティブETFは、米国市場ではすでに広く普及しており、今後も成長が見込まれています。日本市場においても、海外市場の動向が国内のアクティブETF市場の発展に影響を与えると考えられます。海外の運用会社が日本市場に参入することで、競争が激化し、商品の質の向上が期待できるでしょう。
個人投資家の新たな投資選択肢としての期待
アクティブETFは、個人投資家にとって魅力的な新たな投資選択肢になると期待されています。
少額投資の機会の拡大
アクティブETFは、少額からの投資が可能であるため、幅広い層の投資家がプロの運用を享受できます。特に、投資経験の浅い個人投資家にとって、アクティブETFは資産運用の第一歩となる可能性があります。
ポートフォリオの分散化への貢献
アクティブETFは、個人投資家のポートフォリオ分散化にも貢献します。従来の投資信託や個別株式とは異なる投資特性を持つアクティブETFを組み入れることで、ポートフォリオのリスク分散効果を高めることができるでしょう。
アクティブETFは、日本市場において大きな可能性を秘めた投資商品です。今後、多様な商品の登場と市場の発展により、個人投資家の投資機会が大きく広がることが期待されます。
まとめ|アクティブETFを資産形成に活用するためのポイント
本記事では、アクティブETFについて、その特徴やメリット・デメリット、投資に際しての留意点、そして今後の展望について詳しく解説してきました。ここでは、本記事の内容を振り返りつつ、アクティブETFを資産形成に活用するためのポイントをまとめていきます。
アクティブETFの特徴とメリット・デメリットの総括
アクティブETFは、独自の運用方針に基づく柔軟な運用が可能であり、投資家にとって魅力的な投資機会を提供します。また、投資信託と比較して運用コストが低く、高い運用の透明性を有するという点もアクティブETFの大きなメリットです。
一方で、アクティブ運用に伴う高い運用コストや運用リスクは、アクティブETFのデメリットとして認識しておく必要があります。
投資に際しての留意点の再確認
アクティブETFへの投資を行う際には、運用方針の理解と定期的な運用状況の確認が重要です。自身の投資目的やリスク許容度に合致した運用方針を持つETFを選択し、投資後も運用状況を定期的にモニタリングすることが大切です。
今後の展開に向けた期待
アクティブETFは、東京証券取引所での上場解禁により、今後大きな発展が期待されています。多様な投資戦略に基づくアクティブETFの登場により、投資家の選択肢が広がるでしょう。また、個人投資家にとっても、少額からプロの運用を享受できる魅力的な投資機会となります。
アクティブETFを資産形成に活用するためのポイント
- 自身の投資目的やリスク許容度を明確にし、それに合致した運用方針を持つアクティブETFを選択する
- 定期的に運用状況をモニタリングし、必要に応じて投資方針の見直しを行う
- アクティブETFを既存のポートフォリオに組み込むことで、分散投資の効果を高める
- 長期的な視点を持ち、短期的な市場の変動に一喜一憂しない
アクティブETFは、投資家にとって魅力的な投資機会を提供する一方で、適切な理解と活用が求められる投資商品でもあります。本記事で解説した内容を踏まえ、自身の資産形成にアクティブETFを有効活用していただければ幸いです。