個人投資家が知っておくべき債券の含み損の仕組みと影響とは?

債券投資に興味を持つ初心者が増えています。しかし、債券投資に伴うリスク、特に含み損の影響について十分に理解していない人が多いのが現状です。本記事では、含み損が及ぼす影響と、個人投資家が留意すべき点について解説します。

債券の含み損とは

含み損とは、簿価(取得価格)と時価の差額がマイナスになっている状態を指します。債券の場合、金利上昇局面では、新発債の利回りが高くなるため、既発債の価格が下落し、含み損が発生します。ただし、含み損は実現損にはならず、債券を売却したり、償還を迎えたりしない限り、損失は確定しません。

含み損の影響が大きいのは法人や機関投資家

法人や機関投資家は、定期的に決算を行う必要があります。含み損は決算書に影響を及ぼし、自己資本比率や収益性に影響します。含み損の拡大は、経営上の大きなリスクになり得ます。特に金融機関は、その影響を大きく受けます。

金融機関の債券含み損がニュースになる理由

金融機関は、預金者から集めた資金の多くを債券で運用しています。米国の銀行や日本の地方銀行など、金利上昇の影響を大きく受ける金融機関があります。含み損の拡大は、金融機関の財務健全性に影響し、ひいてはシステミックリスクにつながる可能性があります。金融機関の債券含み損は、経済や金融市場に大きな影響を与えるため、ニュースになりやすい傾向にあります。

なお、システミックリスクとは、金融システム全体に影響を及ぼすようなリスクのことを指します。つまり、ある金融機関や市場の問題が、他の金融機関や市場に連鎖的に波及し、金融システム全体を不安定化させるリスクです。

わかりやすく言い換えると、「金融システム全体を揺るがすような連鎖反応のリスク」や「金融パニックの引き金になりかねない、広範囲に影響が及ぶリスク」などと表現できます。

例えば、大手金融機関の経営危機や破綻が、他の金融機関の資金繰りに影響を及ぼし、金融システム全体の信用不安につながるような事態が、システミックリスクの一例です。

償還まで保有する個人投資家への影響は限定的

個人投資家は、法人や機関投資家と異なり、決算を行う必要がありません。償還まで債券を保有する場合、含み損は実現損にはなりません。利息収入と償還金を受け取ることができるため、償還まで保有する個人投資家への含み損の影響は限定的だと言えます。

ただし、個人投資家も気をつけるべき留意点がある

個人投資家も、債券投資に伴うリスクを理解する必要があります。途中売却する場合は、含み損が実現損になる可能性があります。また、発行体の信用リスクにも注意が必要です。デフォルト(債務不履行)が発生すれば、元本割れのリスクがあります。さらに、金利変動リスクを理解し、適切な債券選択と分散投資を行うことが重要です。

個人投資家が金融機関の債券含み損ニュースを見る際の注意点

金融機関の含み損が直接個人投資家に影響するわけではありませんが、金融システムへの影響など、間接的な影響には注意が必要です。金融機関の債券含み損ニュースを機に、自身の債券投資を見直すきっかけとすることは有効です。

まとめ

債券の含み損の影響は、法人や機関投資家に大きいですが、償還まで保有する個人投資家への影響は限定的です。ただし、個人投資家も債券投資のリスクを理解する必要があります。金融機関の債券含み損ニュースを機に、自身の債券投資を見直すことが重要です。自身の投資目的や資金計画に合わせて、適切な債券投資を行うことが肝要です。

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